日本クアオルト協議会大会
島根県大田市で開催

大会における各省庁の講演・下光顧問の講評要旨

経済産業省 保科 佑樹 氏

経済産業省 保科 佑樹 氏

 厚生労働省の資料によると、社会保障給付費は2016年度118兆円を上回る推移で増加。『あるべき医療費・介護費の実現』のためには、公的保険外の予防・健康管理サービスの活用を通じて、生活習慣の改善や受診勧奨等を促し、『国民の健康寿命の延伸』と『新産業の創出』を同時に達成することが必要です。
 国の具体的な施策としては、生活習慣病等に関して、「重症化した後の治療」から「予防や早期診断・早期治療」に重点化するとともに、地域包括ケアシステムと連携した事業(介護予防・生活支援等)に取り組むことです。 目指すべき姿は、生涯現役社会です。誰もが健康で長生きすることを望めば、社会は必然的に高齢化します(「超高齢社会」は人類の理想)。また、戦後豊かな経済社会が実現し、平均寿命が約50歳から約80歳に延び、「人生90年時代」も間近です。そのため、国民の平均寿命の延伸に対応して、「生涯現役」を前提とした経済社会システムの再構築が必要となっています。これを実現するためには、公的保険外のヘルスケア産業の創出が課題ですが、そのサービスの品質を見える化することも大事です。
 そのため、経済産業省としては、ヘルスツーリズムの品質評価制度の創設によるプログラムの見える化を推進します。認証の基本は、安全性、継続性、価値創造性(プログラム自体の魅力や地域活性化)と考えて、現在検討中です。この評価制度については、クアオルト協議会の皆さんにも活用していただけたらと思いますが、法人が対象なので、自治体の中の民間事業者の積極的な活用を望んでいます。

環境省 中島 尚子 氏

環境省 中島 尚子 氏

 温泉旅館等の数や宿泊者数は、年々減少の傾向にあります。利用者は、日帰り客が多く、宿泊が少なくなっているために、旅館等の消費額が減少しています。そこで、温泉地を活性化させるためには、「宿泊」がキーワードになります。環境省は、昨年12月に温泉地保護利用推進室を設置し、温泉地活性化策を加速させています。今年の5月には、第1回温泉地サミットを開催し自治体間の連携を強化、今後は、国立公園満喫プロジェクトと並行し、環境省温泉地活性化プロジェクトを推進することにしています。 環境省の具体的な施策としては、自然資源や温泉の効能等の積極的活用~新湯治(事例:かみのやま温泉、法師温泉)の推進~、国内外に情報発信することに関しては、オンリーワンの魅力(事例:長野県地獄谷温泉のスノーモンキー)の発信、外国人向け温泉利用・入浴マナーの周知、事業者自ら地域の案内役になることを推進する等に取り組むことにしています。 国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化では、日本の国立公園を世界の旅行者が長期滞在したいと憧れるデスティネーションとすることを目指し、具体的には、国立公園満喫プロジェクトとして2020年を目標に、満喫メニューの充実、また取り組みを支援すること、上質感の演出を目指したビューポイントの優先改善等を進める予定です。
 温泉地保護利用推進室設置後の取り組みとしては、温泉と自然を活用した地域の魅力向上(新湯治、未利用熱による地域の活性化)、温泉地のブランド化の推進とPR、温泉地に関する産・官・民のコラボ等を進めて、温泉地の活性化に取り組みます。

厚生労働省 正林 督章 氏

厚生労働省 正林 督章 氏

 私は、クアオルトが大好きです。2年ほど前、夫婦で、お忍びで上山市を訪れました。脈を計測したり、野の花を見たり、朝歩いたり、宿の食事も良かったし、こんにゃく料理も素晴らしかった。大変忙しい公務の中ですが、クアオルトが大好きなので、島根まで来ました。当課では、健康日本21を推進していますが、今日のキーワードは2つ、健康増進施設の規制緩和と宿泊型新保健指導(スマート・ライフ・ステイ)です。
 健康増進施設認定規定の規制緩和は、これまでの認定基準は同一施設内が原則だったものを、「温泉利用施設」と「運動健康増進施設」が近接していること、その他の事情により一体となって運営されていると認められるものを、「温泉利用型健康増進施設」(連携型施設)として認定可能になりました。これまで同様、認定を受ければ、医師の指示に基づき利用する場合、医療費控除の対象となります。
 宿泊型新保健指導(スマート・ライフ・ステイ)は、特定保健指導を受ける場合、温泉地や観光地で宿泊し、快適な環境でやる気を引き出したり、集中的に指導して効果をあげようとするものです。そして健康増進、健康・観光産業の発展と医療費の適正化を同時に実現しようというものです。現在、SLS(スマート・ライフ・ステイ)サミットを開催し、普及啓発に努めています。
 クアオルト協議会の自治体では、以上の2つを積極的に活用していただけたらと思います。

下光 輝一 顧問
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団 理事長、健康日本21推進全国連絡協議会 会長

※ 下光氏は、太陽生命クアオルト健康ウオーキングアワード2016の選考委員です。

下光 輝一 顧問

 私はクアオルトが大好きになっています。以前、上山市を訪問して体験してから、クアオルトに取り憑かれてしまったようで、協議会の顧問を引き受けています。
 大田市での今回の体験は、地域ならではの特色を生かした素晴らしいものですし、地域の人々の活動が大変良いと感じました。
 昨年、由布市において「クアオルト指標」に基づく自己評価がありました。レーダーチャートにして分かりやすく大変興味深いものでした。今後もクアオルト指標を活用し、評価の低いところを改善して、取り組み姿勢を大会ごとに明示してもらいたいところです。
 クアオルトの言葉や内容は、なかなか知られていないのが現状です。日本での認知度を高めるためにも、やはり検証作業やエビデンス(医科学調査による証明)は重要です。日本体力医学会でも、昨年と今年の2年にわたり、シンポジウムを開催して、クアオルト健康ウオーキングに取り組む首長にも参加してもらいましたが、興味が広がっているようです。他の学会でも積極的に取り組んでもらい、自治体との共同研究を進め論文にしてもらいたいと思っています。
スマート・ライフ・ステイ  健康づくりも、短時間の指導からスマート・ライフ・ステイなどの宿泊型の手法に変化してきています。 クアオルトでは、健康づくりだけではなく、特定保健指導のスマート・ライフ・ステイを進めて行くべきです。また、ストレスチェックは、私が調査票を開発し、その後法律が制定されましたが、大事な分野になっています。ストレスチェックの制度には、クリニックへの紹介や産業医の対応などがありますが、対象者のフォローアップが大変重要な課題になっています。このストレス・マネジメントの大きな要素として、ストレスの予防があり、ストレスチェックに関わる私としては、自然の中でストレスを軽減する流れを作れば良いと感じており、ストレス・マネジメントに対しては、クアオルトにおける様々な取り組みが大切な対策になります。今後ますますクアオルトの重要性が明らかになることと思います。

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