クアオルト健康ウオーキングとは

クアオルトとは

ドイツでは、国が認定し4つの自然の療養要因で医療保険が適用される特別な地域。

 クアオルト(Kurort)とはドイツ語で、クア(Kur)「治療・療養、保養のための滞在」とオルト(Ort)「場所・地域」という言葉が合わさった言葉で、「療養地」という意味になります。
このクアオルトは、国が認定した特別な地域(基本的には自治体)で、次の4つの療養要因で医療保険が適用される地域です。
入院・通院様々ですが、最長3週間滞在して治療をします。
 現在は、治療客だけではなく、自費で健康づくりに活用する人が8割以上を占めており、その意味では、療養地というより健康保養地の性格が強くなっています。

「4つの自然の療養要因」とは、土に由来する温泉や泥・蒸気、海、気候、クナイプ式

 4つの療養要因とは、治癒、緩和、予防に効果のある自然の治療薬を言います。
その療養要因は、土壌、海、気候、クナイプ式があります。

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温泉がある地域では、土壌(温泉)を活用したクアオルトが行われ、海辺に近い地域では、海風や海水を活かしたクアオルトが行われています。
その土地にあったクアオルトがドイツでは様々な地域で行われています。

※ クナイプ式は、クナイプ牧師が、罹患した結核を自分で治癒した手法を体系化したもので、水療法・運動療法・食餌療法・植物療法・秩序療法の5本の柱からなり、自然の力を利用して自らの治癒力を高める治療手法です。

気候性地形療法と
クアオルト健康ウオーキング

気候性地形療法は、「気候」のクアオルトで活用される、
自然の野山を歩いて治療する運動療法です。

 ドイツにおける気候性地形療法の特徴の一つは、個人の体力に合わせた運動リスクの少ないウオーキングで、運動負荷を心拍数(脈拍)の測定でコントロールします。
 その目標となる心拍数は、160−年齢で、運動負荷としては55~60%程度となり、全力の半分を少し超えた程度の強さで、苦しさが少ないものです。ただし、血圧降下剤を服用する方は、160−年齢の数値から、10~20%減じた目標としています。
 もう一つのポイントは、運動中「やや冷える(運動時の体表面温度が、運動前に比較し平均2度低くなる状態)」と感じる服装で行うと運動効果が高まるという医科学的な根拠(エビデンス)を活用し、汗を上手に気化させて体表面の温度を下げて、運動することです。暑い場合は、水を活用して、強制的にやや冷える状態に誘います。
 ドイツでは、心臓のリハビリ(心筋梗塞や狭心症のリハビリテーション)や高血圧の治療、骨粗しょう症の治療などに利活用されています。
 日本における気候性地形療法は、あくまで健康づくりとして実施されています。

クアオルト健康ウオーキングは、気候性地形療法を基本としています。

 クアオルト健康ウオーキングは、ドイツのクアオルトで活用されている、気候性地形療法の手法やコースの基準を基本とし、日本の自然環境や気候に適合させ、路面の傾斜や変化、安全対策などに配慮した、運動指導です。
 日本では、青森市浅虫温泉、山形県天童市、同県西川町、石川県珠洲市、秋田県三種町、岐阜県白川村、大分県由布市、岐阜県飛騨市、兵庫県多可町、岡山県新見市、埼玉県所沢市、宮崎県延岡市、静岡県小山町、岐阜県岐阜市、三重県志摩市、埼玉県横瀬町、愛知県岡崎市、岐阜県関市、滋賀県高島市、岐阜県美濃加茂市、長野県東御市、新潟県妙高市、群馬県上野村などで活用されており、年々増えています。
 クアオルト健康ウオーキングの基本となる「クアの道(健康の道)」のコースは、気候性地形療法コースの基準を基本とし、日本クアオルト研究所が調査・設計し認定しています。

国がクアオルト健康ウオーキングの社会的意義を認め、
今まさに、健康寿命延伸のための施策として、注目が高まっています。

国が認証する保健指導プログラム宿泊型新保健指導のモデルプランに

 厚生労働省が「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】」の中で、日本クアオルト研究所 アドバイザー 小関信行博士が監修した山形県上山市での実施プログラムが、宿泊型新保健指導(スマート・ライフ・ステイ)のモデルプランとして紹介されています。
 上山市は、2015年に厚労省から宿泊型新保健指導プログラム試行事業の実施地として採択され、市民だけでなく全国の健康保険組合・企業を対象として実施。これが高く評価され、翌年から本格実施が始まっています。

標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】 山形県上山市の実施プログラム

標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】

【宿泊型新保健指導での運動の規定】
対象者の体力や健康状態に合わせて運動強度を設定できること、当日の体調に合わせて運動強度・内容を調整できること

林野庁が推進する「森林サービス産業創出」で注目

 日本の国土の約2/3を占める森林。林野庁は森林空間を「健康」や「観光」、「教育」の分野で活用し、山村を活性化させる「森林サービス産業の創出」に力を入れています。人口減少という課題を抱えながら、木材を生産する従来の「林業」のみならず、森林がもつ「保健・レクリエーション機能」や「環境保全機能」にフォーカスして、山村の交流人口を拡大するのが狙いです。
 クアオルト健康ウオーキングは、主に森林の傾斜地を利用した健康づくであり、親和性が高い「森林サービス産業」の一翼を担う可能性を秘めている。「地方創生」の核心である人口減少・高齢化社会の到来を迎える中、クアオルトの取り組みは、森林空間を利用し山村地域の新たな雇用と収入機会を生み出すことが期待されています。

全国に広がるクアオルト

住民の健康づくりと交流人口へ

 日本型のクアオルトは、ドイツのクアオルトを基本に、地域資源や温泉などを活用しながら、日本の風土に合った健康保養地を目指しています。自治体を中心に設立された日本クアオルト協議会は、クアオルトに関する交流や意見交換が行われており、それぞれが地域の資源にあった日本型クアオルトを展開しています。
 また、クアオルト健康ウオーキングは、2008年上山市から健康づくりとして始まり、日本クアオルト研究機構により研究が行われ、2016年より太陽生命クアオルト健康ウオーキングアワードがスタートしたことで広く知られるようになりました。現在、多方面から注目を集めています。

全国に広がるクアオルト

※令和5年度に事業が開始される自治体

※2日本クアオルト協議会 … 地方自治体が加盟し、クアオルト推進に向け人材交流や情報交換が行われている。