新潟県妙高市 担当者にインタビュー

取り組みを始めるに至ったきっかけ、経緯などをご説明いただけますか?

新潟県妙高市 観光商工課観光交流グループ 主事 千葉萌生 氏

 当市は、自然資源を活用した医療先進地であるドイツ南部の高原・山岳地域「クアオルト(健康保養地)」に類似している気候要素といわれており、平成20年4月4日には、科学的な癒し効果が証明され、林野庁から池の平温泉周辺が「森林セラピー基地」に、そして市内の6つの遊歩道が「森林セラピーロード」に認定されています。

 そのような中、「総合健康都市妙高」を目指し、平成25年には「元気いきいき健康条例」の制定をはじめ、クアオルトウオーキングと水中運動を組み合わせた「妙高型健康保養地プログラム」を作成し、市民や来訪者の健康増進に係る各種事業に取り組んできました。平成29年にはクアオルトの拠点施設として温泉トレーニングプールを備えた「妙高高原体育館」がオープンし、プールも活用した事業を展開しています。これまでの取り組みでは、ガイドの養成など受入体制の確保や、コースの案内看板整備などに課題があったため、専門家による助言、指導を仰ぐため、この度の申請に至ったものです。

首長や他部署に対して理解してもらうためにプレゼンをするのは、かなり大変ではないかと思うのですが、苦労したところなどがあれば伺えますか?

 当市では、市民向けの健康増進を健康保険課、生涯学習課、福祉介護課が担当し、ヘルスツーリズムや誘客については、観光商工課が担当し、全庁的な取り組みを推進しています。

 しかしながら、複数課にわたって事業を行っているため、情報共有や事業の進捗管理等の調整に苦慮しています。今後についても各課が主体的に事業を進めていけるよう、タイムリーな情報共有に努め、事業の進捗を図りたいと考えています。

クアオルト健康ウオーキングを活用して解決したいことはなんでしょうか?

 これまでの課題として、1つは参加者がいつも同じで増えないこと、2つ目はコースの案内看板等の整備が不十分であったこと、3つ目はガイドなど十分な受け入れ体制の確保ができないことなどがありました。

 そこで、クアオルト健康ウオーキングを市民向けに週1回開催、月1回の集客・体験イベントを開催することで、市内におけるクアオルトの裾野を広げるとともに、運動習慣の定着を図りたいと考えています。

 また、「健康×観光」を新たな観光コンテンツとして、当市の強みである妙高戸隠連山国立公園に抱かれた豊かな観光資源とクアオルトを組み合わせた旅行商品の造成を観光事業者とともに推進し、健康経営を推進する企業ニーズも視野に、交流人口の拡大に向けた積極的な展開も考えています。

クアオルト健康ウオーキングを導入しようとおもった理由はありますか?

 これまで当市では、運動習慣の定着に向けて地元教育機関から協力を仰ぎ、全町内会を対象としたウオーキングを主体とした健康づくりに取り組んできました。しかしながら、運動強度の程度に個人差があることや、ウオーキングをするためのコース選定が不十分であるなど、なかなか運動習慣の定着に結びつけられませんでした。そこで、市民一人一人の運動習慣の定着を目指して、コース設計も十分考えられて、幅広い年齢層が無理せず楽しく自分の体力に合わせて実践できるクアオルト健康ウオーキングの導入を考えました。

健康プログラムと合わせて、どんな特色をみせたいでしょうか?

 妙高市には、クアオルトの3大要素である「健康、運動、休養」が実感できる妙高戸隠連山国立公園など、四季折々の変化に富んだ雄大な自然の中に、7つの温泉地、5つの泉質、3つの湯色をもつ「七五三の湯」といわれる妙高高原温泉郷をはじめ、春は新緑とつつじ、夏は冷涼な気候での各種アウトドアスポーツ、秋は全山深紅の紅葉で包まれ、冬は9つのスキー場に代表されるスノーリゾートがあります。また、新潟ならではの美味しいお米とお酒、地域文化の中で育まれた発酵食品や、近年はワイン用ブドウや大麦栽培などにも取り組んでいます。

これらの地域の特色を生かし、「誰一人取り残さない」というSDGsの基本理念のもと、人と自然が共生する持続可能なまち「生命地域妙高」の実現に向け、質の高いクアオルト健康ウオーキング事業を推進したいと考えております。