大分県由布市 担当者にインタビュー
クアオルト健康ウオーキングに取り組もうと思ったきっかけや、アワードへ応募するまでの経緯を教えてください。
大分県由布市 総合政策課
北崎 英梨 氏
由布市では、旧湯布院町時代に掲げた「クアオルト構想」に基づくまちづくりの理念を合併後の市になってからも継承しながら、温泉や自然、景観などの地域資源を活用した健康づくりや滞在型保養温泉地づくりに取り組んできました。
また、日本の風土に合わせた「質の高い滞在型の健康保養地づくり」をめざす自治体で構成する「日本クアオルト協議会」にも加盟しています。協議会には、「クアオルト健康ウオーキング」に取り組む自治体も多く、そうした自治体の取組や成果に触れて刺激を受けたこともきっかけの一つになりました。さらに、市内の医療法人からの後押しもあり、原点の考え方を受け継ぎながら今後も継続・発展させていくためには、市全体へ広げていくことが必要だと考えました。そうした思いから、まずは一歩踏み出してみようということで、アワードへの応募に至りました。
アワードへの応募を検討する中で、不安だったことやハードルに感じたことはありましたか?また、それをどのように乗り越えましたか?
当市では、湯布院エリアに認定コースが1コースあり、以前からクアオルト健康ウオーキングに取り組んでいました。しかしコロナ禍を機に実施体制が整わなくなり、開催できない状態が続いていました。その結果、庁内においても「クアオルト」に対する認知や関心が低下してしまい、再スタートするにあたっては、改めて庁内の理解を得るとともに、関係部署との連携を図ることが課題となりました。
一方で、市長・副市長が取組の意義を理解し、推進に前向きだったことが後押しとなりました。その理解をもとに、改めて取組について庁内で共有しながら、関係部署と情報交換を重ね、協力体制を整えているところです。
数ある健康づくりや地域づくりの取り組みの中で、クアオルト健康ウオーキングを選んだ理由を教えてください。
これまで大切にしてきたクアオルトの理念を、具体的な取組として実践できるツールのひとつになると思ったからです。
当市では平成25年に「健康立市」を掲げ、湯布院健康温泉館”クアージュゆふいん”での水中運動や健康マイレージ事業などの健康づくりに取り組んでいます。また、ただ観光地を巡るだけではなく、ゆっくり滞在し、温泉や自然、食や文化を体感する「滞在型・循環型保養温泉地」を目指した観光地域づくりをしています。
その中で、クアオルト健康ウオーキングは、実際に地域の自然や景観に触れながら健康づくりに取り組むことができるだけでなく、観光、景観、環境など、さまざまな分野を横断して取り組める点に可能性を感じました。
アワードに応募したこと、そして受賞したことは、事業を進めるうえでどのような後押しになりましたか?
アワードへの応募を機に、これまで取り組んできたクアオルトの取組について改めて振り返り、取組の目的、今後の方向性を整理する機会となりました。また、受賞したことで、こうした取組を市内に広げていくうえで、庁内外に発信するきっかけにもなったと感じています。
令和8年4月にスタートした「第三次由布市総合計画」では、複数のまちづくりテーマにおいて、「クアオルト」という言葉を明記して、その理念に通じる考え方や地域資源を活かした取組を位置づけています。
まずは市民にとって気軽に取り組める健康づくりの一つとして、来訪者にとっては、ゆっくりと滞在しながら自然や景観などこの土地ならではの環境を味わう体験として活用していきたいと思っています。こうした取組を通じて滞在時間の延伸や市内周遊にもつなげ、健康と観光の両面から”住んでよし 訪れてよし”の地域の魅力を高めていければと考えています。
最後に、クアオルト健康ウオーキングやアワードへの応募を検討している自治体の担当者へ、メッセージをお願いします。
クアオルト健康ウオーキングは、血圧の安定や、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンの分泌など、心身の健康に良い効果がエビデンスによって示されている取組です。また、地域の特性や既存の取組に合わせてさまざまな形で取り入れることができる、汎用性の高い取組でもあり、対象も子どもから大人まで幅広く、年齢や体力に応じて無理なく取り組めることも大きな特徴です。
ただ、クアオルト健康ウオーキングそのものを目的にするのではなく、その先にある「クアオルト=滞在型の健康保養地としてのまちづくり」を考えることが大切だと思っています。
まずは、「自分たちの地域にはどんな魅力があるのか、どんな地域にしていきたいのか」を考えてみていただき、その地域の自然や景観、温泉、食、文化、人とのつながりなどを、健康づくりや癒やし、楽しみ、観光、交流などとどう組み合わせていくかを考えることで、その地域ならではのクアオルトの形が見えてくるのではないかと思います。地域のこれからを考えるきっかけとして、アワードへの応募を検討していただければと思います。

